雛形書庫

An Unmoving Arch-Archive

2020年音声メディア振り返り

Executive Summary

Echo Dotで使えるradikoのAlexaスキルの効果でラジオ (J-WAVE, NHK-FM) の聴取がとても捗った反面、その影響でPodcastを聴く頻度は相対的に減少した。Echo DotでのPodcastの聴取は、もともとAmazon MusicではPodcastを聴けなかったこと、また2020年秋からは一部の(=Amazon Musicに登録されている)番組が再生可能になった*1ものの、番組名の音声認識やエピソード中のチャプター頭出しに難があり、Podcast再生機器としての本格的な運用には至らなかった。

また、ラジオ番組を聴くようになった副次的な影響として、ラジオ番組のクリアな音質に慣れてしまい、音質のあまり良くないポッドキャストを聴き続けるのがやや難しくなった。これもあってPodcastを聴く頻度はさらに減ったものの、音質と個人的興味の2軸で見てなお聴き続けている番組もいくつか存在している。精力的に配信を続けられている配信者の方々には感謝するばかりである。

 

 

ラジオ

2020年によく聴いた実感のあるラジオ番組は以下。聴くともなく聴いているNHKラジオ第一の番組は除外している。

  • INNOVATION WORLD (J-WAVE):春~秋にかけて良く聴いていた。夏には理研の松岡先生が出演して理研スーパーコンピューター「富岳」を語るということで、たまには真面目なおさらい記事を全4回にわたってお送りした*2*3*4*5

  • TRUME TIME AND TIDE (J-WAVE):通年でわりと良く聴いていた。ナビゲーターのお声がよい*6。いろんなゲストがやってくる。JK語で読むギリシャ神話のCMがすき。

  • ETHICAL WAVE (J-WAVE):2020年10月から始まった新番組。ナビゲーターのお声がよい。毎週土曜の夜はこの番組から21時台のTRUME TIME AND TIDEまで聴き続けるのが楽しい。

  • ×(かける)クラシック (NHK-FM):夏くらいから聴き始めた。パーソナリティのお声がよい。クラシックのことはよくわからないけど、聴くと日曜午後が優雅になる。radikoタイムフリー聴取ができないのがちょっと残念。

 

Podcast

Rebuild

rebuild.fm

安定した更新頻度と音質の良さで2020年も良く聴いていた。在宅のままお互いがリモートで安全に収録できるPodcastは、コロナ禍でも有効なコミュニケーションの手段であり、また娯楽でもある。今年は特にゲストがバラエティに富んでいた気がしていて、とりわけ台湾のデジタル大臣がゲストで登場する*7など、老舗のテック系Podcastの貫禄が見られた。あと森田さんも例年通りゲストに来ていた*8ので個人的にうれしい。

 

Misreading Chat

misreading.chat

Rebuildにゲストで登場する森田さんのPodcast。1年ほど更新されていなかったところ、また新シーズンが始まって聴くようになった。正直なところ、CSの論文の内容が本当に理解できる回はそれほど多くないので、数少ないわかった回を何度も繰り返して聴くことが多い。Javaの歴史を冷やかす森田さん*9に触発されて、僕もこの冬休みの自由研究にとFortranのcoarrayの歴史を冷やかしはじめた。

 

Researchat.fm

researchat.fm

先日もLTで大変お世話になった*10。研究とそれ以外の話題がちょうど良くていつまでも聴いていられる。入れ替わりながらの三人パーソナリティというスタイルが秀逸で、2人もしくは3人、時々ゲスト有りの組み合わせによって各人の個性が様々な形で発揮される。個人的な思い入れ*11を承知の上でなおいち押しさせてもらうならば、エピソード84*12, 85*13が持つ熱量はとても素晴らしく、同時に初心者が上達していく過程として学ぶべきところが多かった。

 

Interaxion Podcast

interaxion-podcast.github.io

Researchatの公式ツイッターアカウントによる紹介ツイートで知った。聴き始めのタイミングでの最新回が、ゲスト出演された方と一緒にRebuildいいよね…😊っていう回*14で、これを聴いて僕もRebuildいいよね…😊ってなった*15。毎回のエピソードで分厚いShow notesが知識欲を刺激してやまない。僕はエンジニアリングの側の人間なので、物理の観点から取り上げられる話題の細かいところまでは理解が追いつかないけど、それでも理学の方々が持っているものの見方は興味深く参考になる。

 

あらB.fm

anchor.fm

前述したInteraxionのRebuild回にゲスト出演したあらBさんがPodcastさっと始め*16られていた(すごい)。これまでに幅広いゲストが登場していて、Podcastのカラーが定まるというよりかは、色とりどりで面白いなと感じさせられる。音質に関しても細心の注意を払っていらっしゃるようで、筆者の知る限りでは最新(2020年12月時点)の良質なまとめ記事*17を発行されている。

 

はなれより

anchor.fm

個人的に、「はなれより」は無音の間を聴くPodcastだと思っている。音質が最高に良いおかげで、聴いていて疲れるということがないし、また会話の間に何を考えて、どういうテンポで言葉を繰り出しているのかがよくわかる。vol. 010*18で語られている、黎明期のインターネットに触れる感覚はとても良くわかるし、あとはPodcastに対するゲストの方の発言、Podcastはオープンなインターネットツールである、という考え方は個人的にしっくりきた。年間を通じて更新頻度は高くなくとも、着実に配信されている姿勢は見習いたい。

 

おわりに

(ラジオはさておき)Podcastに求めるものは人それぞれだろうけれど、しかし雑談というのも重要な要素のひとつであるというのは、先日のResearchatのエピソード*19を聴いていても頷くところである。yatteiki.fmのパーソナリティの方が2016年に書かれた記事*20を読むと、雑談が気軽に配信される未来を予見していてすごいと思うし、ここでは取り上げなかったPodcastも含めて、雑談や情報を配信してくれる番組はここ数年で本当に増えた。しかし配信が手軽になったとはいえ、その裏では配信者が少なくない心を砕き・時間を割いて世に送り出している、ということは折に触れて思い出すのも悪くはないだろう。配信者の方々には感謝しつつ、来年もまた良い音声メディアに恵まれますように。■