雛形書庫

An Unmoving Arch-Archive

Life-Changing D-Pad

アーケードコントローラー(アケコン)からパッドに移行して変わった人生について。

 

 

はじめに

Researchat.fm エピソード84の冒頭で紹介されている当ブログの筆者は、2020年の夏にゲームのインターフェースをアーケードコントローラー(アケコン)からパッドへと移行した。そのきっかけとなったのは同じくResearchat.fmのエピソード53であって、このうちアケコンの話題は24:10あたりから聴くことができる。

researchat.fm

 

エピソード中のアケコンからパッドに切り替えたというプロゲーマーについて、これを聴いた当時は原典まで辿れなかったのだけれども、のちのツイッターでのやりとりで元動画を教えていただいた*1

 

アケコンを使うに至った個人的な経緯を一応書いておくと、記憶が正しければ2013年の春から使い始めていて、これは当時Xbox360で発売された怒首領蜂最大往生*2に合わせて買ったもの。ゲームセンターにあるSTGをやるのは久しぶりだし、ちょっと頑張ってやり込もうかなと思い立って導入した。それ以前のSTG、主に東方シリーズをやるときにはPS2コントローラーを使っていたので、厳密にはアケコンからパッドへの移行ではなく、パッドへの出戻りになるのかもしれない。

ただし格ゲーに手を出したのは2013年以降の話なので、こちらはこれまでずっとアケコンでプレイし続けていた。それをこのたびパッドへと移行した、というのが冒頭の話。

 

 

ゲームパッドの移行

PS4で使えるパッドにはRazer Raion Fightpadを導入した。選定理由として、PS4だけでなくPCでも使えること(アクションやSTGにも使えそう)、D-Padが外側の位置にあること、表面が6ボタン配置になっていること、が挙げられる。夏に使い始めて以来、今のところ使い勝手に不満はない。純正コントローラーよりも斜めが入力しやすく、ボタンの反応も心なしか速い気がする(個人の感想です)。かつてのアケコンに比べてコントローラーの取り回しは格段に楽になり、ゲームを始めるための障壁も下がった。

 

その一方で、アケコンの持っていた重さが(文字通りに)無くなっただけではなくて、ゲームをやり続けることの業の深さみたいなものもまた失われたように思う。たとえば対ありでした。 ~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~といった尊い漫画を読むに、重たいアケコンを懸命に担いでまで闘い続ける彼女らには憧れるし、そうありたいと願うけれども、そんな熱量を実感できる機会が物理的に失われてしまったことには一抹の寂しさを覚える。 

 

 

ゲームパッド以外の移行

実はResearchat.fmのエピソード53はこれで終わらなくて、25:05あたりでの「積み上げてきたインターフェースと違うものを使う決断をするのはすごいこと」という発言、そしてそれに続くemacsからvimへのエディター移行の話は、研究環境にとても重要な示唆を与えてくれている。

このエピソードを聴いたのが今年の4月で、振り返ると結構大変な時期だったけれども(今もまだ大変だけれども)、こんな時期だからこそ自分の構築してきた環境を一度バラしてみても良いのでは…? と当時思い始めた。以下はこの半年間でアケコン以外に移行したもの。

 

USキーボード

左右分離型のキーボードが欲しいとかねがね思っていて、しかしRebuildで紹介されていたErgoDox*3に挑戦するほどの勇気はなく、折衷案としてのMistel BAROCCO MD770は良さそうと思いつつも、これは英語US配列しかないことがわかった。しかしこれも良い機会だろうということで、それまでの日本語JIS配列から英語US配列へと乗り換えた。

使い始めてからしばらくは慣れなかったけれど、今ではUS配列のエンターキーの近さ、記号周りのタッチタイピングのやりやすさを実感している。このキーボードに限って言えば、FnキーとJKLIキーの同時押しでホームポジションから動かさずにカーソル移動できるところも良い。なお最大の特長である左右分離機能は、分離して使うとマウスまでの距離が遠くなり、逆に肩が張って痛くなるという事実が発覚したため、結局分離せずに使っている。分離とは

 

VSCode + Markdown

これはエピソードで語られていたまさにエディターの話で、移行というほどではないけれど、それまでお手軽に使っていた日々のエディターVSCodeをもうちょっと手になじませてみようと試みた。エクスプローラー、バージョン管理、ターミナル周りの細かい設定まで読んでみて使い込んでいくほどに、このエディターの高機能さと便利さを実感している。ついでにMarkdown記法も覚えて、日々の記録を楽しくて楽なものにした。さらに頑張ってナレッジマネジメントにまでつなげようとしているけれど、こちらはツール選定の段階でまだ道半ば。

 

Julia

NSFWな女優さんではなく、プログラミング言語のほう。プログラミングをしようとするとこれまではFortranを使っていて、この状況はもうしばらく続くのだろうと思う。けれど世の中も進歩しているわけだし、年若い言語の考え方とか思想・哲学に触れておくのも悪くなかろう、と思って始めた。HPC環境に完全に馴染ませるのは難しくとも、簡単なsnippetくらいであれば移行したいなと思い立ってはじめた。

調べたらタイミング良く新しい書籍が発刊していて、体系的に情報を得るのにとても役立った。本のタイトルにある通り、Juliaが1-based indexingになっているのはFortranにobsessionされた人にとっての福音である。日本語の情報がなかなか見当たらずに原典である英語ドキュメントまであたらなければいけないケースも多く、それが逆に英語のリハビリにもなってくれた。

1から始める Juliaプログラミング

1から始める Juliaプログラミング

 

 

 

おわりに

Podcastで語られていたのはゲームの話だけど、そこから波及して日々の研究生活を豊かにできたことにはひとえに感謝しかない。ぱっと思いつくところでは上で挙げた通りだけど、他にも移行したものがあるかもしれません。思い出したら追記します。

 

ところでパッドを買ったは良いものの、ギルティギアの新作が発売されるのはまだ先の話であって、それまでのつなぎとして*4グランブルーファンタジー ヴァーサスを前提知識なしで遊んでみた。このゲームから得られた知見*5、格ゲーの学びについてはまた機会があれば書きたい。 

 

*1:

Researchat/研究雑談Podcast🧐🔬🦠🎙 on Twitter: "いつも言及してくださり、ありがとうございます。ep53で紹介したアケコンからパッドに変えるというくだりは、以下の動画02:29:51付近から聴けると思います。強豪プレイヤーヒライさんの話です。
https://t.co/zcktSqNc6G… "

*2:つい最近になってEXAレーベルなる新基盤向けのバージョンが稼働を開始し、ふたたび盛り上がりを見せている様子:怒首領蜂最大往生 - Wikipedia

*3:安定の森田さんゲスト回である

*4:前作であるXrdはやりこむと過学習に陥るという理由で手を付けていない。この態度が正しいのかはわからない

*5:シャルロッテが健気でかわいいこととか