はじめに
『波よ聞いてくれ(1) (アフタヌーンコミックス)』の第1話、放送中のスタジオに乗り込んできた鼓田ミナレに対してディレクターの麻藤が云う:「手元にあるレバー付きの箱はカフ・ボックスだ」「今 OFFになってるな? そいつを上に上げればアンタの肉声が電波にのる」
LT発表開始のタイミングでZoomのミュート機能をOFFにするとき、そうか彼女はちょうどこんな気持ちだったんだろうな……と思った。緊張しないはずがない
LTに参加しよう
普段聴いているPodcast・Researchat.fmが年末にLTを主催するとの告知があった。登壇しようかどうかを散々悩んだ挙げ句に締め切り直前に申し込んだところ、締切日の翌朝には講演プログラムがすでに出来上がっていた:
#researchatLT vol.1 (12/26 17:00- JST)に応募してくださった皆様ありがとうございました。18件全てを採用させていただきました。発表スケジュールを公開させていただきます。タイトルから多種多様な発表が揃ったことが見て取れると思います。現在特設サイトを作成中ですので少々お待ちください。 pic.twitter.com/zwoT7kUFWW
— Researchat/研究雑談Podcast🧐🔬🦠🎙 (@researchat_fm) 2020年12月13日
しかし発表時間5分のLTなんて(記憶の限りでは)やったことないし、どうしたものだろう? ともあれ申込はしたので、何かしら準備をしておかないといけない。公式ブログでの特設サイトもいつしか完成していた:
タイトルを用意する
LT主催の告知があった時点で、話のネタとしては以前に記事*1にした『反秀才論』の話が使えそう、という目論見があった。ちょうどツイートで返信ももらっていた*2ので、タイトルは返信内容から引用させていただいた。登壇申込前にGoogleスライドで大まかな流れを作ってみて、これは発表の5分間いけそうだという感じになったので申し込んだ。
スライドを用意する
LTの募集要項には講演資料をPDFで提出してくださいとあり、そういえば仕事以外でのスライドを作るまともな環境がないな…ということに思い当たった。そこで今回のスライド作りではGoogleスライドをはじめて使ってみた*3。以下はスライド作りの過程:
- Googleスライドに慣れてないのであまり凝ったことはできないし、講演時間も短いのでシンプルにやる選択肢しかなかった。スライドテーマを眺めていたら"ゲームデイ"というカラースキームが非常にしっくりきたので、これを採用。
- いつもの学会発表をなぞって イントロ→マテメソ→考察→結論 みたいな構成にしつつ、講演時間に合わせるべく各項目をできるだけ圧縮した。しかしこの構成が正解かというとそうでもなく、実際のLTでの他登壇者の資料を見ると、様々なバリエーションがあって勉強になった。coela (@DRZ400SM) さんのようにスライド枚数30ページ以上を用意しても、7分かからずに話し切れることがわかったのでそのスライド捌きは見習いたい。
- 冒頭に自己紹介ページを入れるべきか、にはしばし悩んだ。個人的には「誰が書くか」よりも「何を書くか」を考える派なので、要らないだろうかとも思う一方、なにもないのも聴き手にとって不親切かという思いもあり、最終的にはネタを交えることで「ないよりはある」状態にした。
- 作成したスライドをPDFにエクスポートしたら、デフォルトで使っていたメイリオフォントが別のフォントに変わってしまった。ここ*4を参考にしてPDFでも使える良さげなフォントを2種選択し、地の文と吹き出しでフォントを変更。
- 文字サイズと改行位置の修正、文字の強調。文字の強調色にはオレンジを選んだ。無地背景にはこれで良かったけれども、吹き出しの背景色があるところに色付き文字を重ねたのが本当によろしかったのかどうかは少しわからない。
マイクを用意する
普段遣いのヘッドセットRazer Kraken 7.1 V2を使った。音質が少し心配だったけど、悪くないようであればよかった。
このヘッドセットは耳に当たる部分の側面が七色に光る仕様になっているけれど、ヘッドセットを使っている最中に側面部は当然ながら見えない。ミヨシ (@344dayo344) さんがLTでお話されていた、青森県立美術館の光るモニュメントのほうが、自分で見えるぶんよっぽど素敵だと思った。
LTに限らず今後もリモートで話す機会は続くだろうから、マイクのひとつくらいは家庭に常備しておいても良いかもしれない。
声を用意する
LTはその名の通り話すものであるから声が必要になる。今年一年間を振り返るとフォーマルな発表の機会がろくになかったので、かつリモートワークで話す機会そのものも減っていたこともあり、これはしゃべる練習をしておかないとまずいなと思って読みの練習をしておいた。
実際のLTでは、2番目で発表されていたAyane@バイオ系テクニシャン漫画アリ〼 (@yuruyuru777) さんが、専門のサイエンスコミュニケーターなのかな? というほどに素晴らしくて、一朝一夕でどうにかなるものではないと思い知らされた。落ち着いてお腹から声を出そうと思っても、そうした注意は緊張しているとあっという間に意識の外に出てしまう。困りごとだけど、困りごとがわかっただけでも収穫がある。
Zoomのミュート機能をOFFにする
冒頭の場面。
一つ前の登壇者であるShingo Nakazawaさん (@shnakazawa_ja) さんの脳オルガノイドの講演は、なにかとても面白いお話をされていることはわかったけれど、自分が緊張していたせいで頭に入ってこなかったのは残念。あとでアーカイブで追いかけたい。
環境音を減らすのに前もってエアコンと加湿器の電源を落としておき*5、話し始めにZoomのミュート機能をOFFにするのはやったけど、手元で残り時間を見るための5分間のタイマーはスタートし忘れた。読みの練習の時点では最後のまとめスライドを出すところまでは5分でいけるはずだったけど、どこかでタイミングがずれて少しだけ時間超過。最後に謝辞だけは回収させていただいた。
おわりに
ということで、今回のLTに参加したことで色々な学びがあった。改めて考えるとLTによって学びを得ていたのはトークを聴いている聴講者の側ではなくて、話す僕自身のほうかもしれません。
講演資料の最終ページ、まとめスライドの終わりに受けた恩は返していきましょうということを書いていた。ネタ探しのところで挙げた記事でも書いたように、恩返しのあり方にも色々あると思っていて、たとえばResearchatをはじめとするPodcastもひとつの方法だと思っている。このたびのライトニングトークという形でそういった恩返しに微力ながらも貢献できていたとすれば、登壇者のひとりとしてとても嬉しい。
なおLT後の懇親会ではcoelaさんのテスタメント*6が猶予数フレしかない青キャン *7を難なく繰り出す様子を眺めつつ、Tadasu Nozaki (@tadasu443) さんからは獣道の動画*8を、やまけん🌤️ (@yamaken37) さんから『℃りけい。 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)』*9『100分de名著』*10その他諸々の面白い作品を教えていただいた。その他にも話題は尽きずにとても楽しい時間を過ごすことができた。皆様どうもありがとうございました。
*1:
*2:
*3:作成当時は存在を忘れていたけれど、マイクロソフトのWeb版Officeでも良かったかも
*4:Googleスライドでスライドショー・書き出しするとフォントが変わる問題の解決 - Qiita
*5:とはいえZoom側でもなんらかフィルターは通していると思うので、実際に効果があったかどうかはわからない
*6:84. Exe Beast | Researchat.fm
*7:青、青キャン、FRCって何? - GGXX/Xrd Wiki (seesaawiki.jp)
*8:ときど著『世界一のプロゲーマーがやっている 努力2.0』にときど選手が負けたときのコメント「せめてゲームの中でくらいは勝ちたかった」というものが出てきますが、これまで出典を確認できておらず、この動画で初めて原典に当たることができました。ありがとうございます
*9:第一話にある "旅客機の通信を聴く" という台詞から、以前に航空無線が受信できる無線機を買おうかと一瞬だけ考えたことを思い起こした。当時はJ-WAVEの81.3 MHzが聞ければそれで十分、それ以上の周波数帯は不要と却下してしまった
*10:個人的に『菜根譚』の100分de名著版を持っている:洪自誠『菜根譚』 2015年10月 2014年11月の再放送 (100分 de 名著)