雛形書庫

An Unmoving Arch-Archive

『正しいものを正しくつくる 著者による本読みの会』に参加した

本日開催の読み会、参加したのでその記録(というかこのタイミングでないと、たぶん書けない)。

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経緯

 

正しいものを正しくつくる』という本は今から1年前、それこそ発売された直後くらいに手に入れていたのだけれど、内容が難しすぎて、あるいは業界が違うせいもあるのか、理解が追いついていかないな、というのが率直な感想だった。物理本で300ページ以上にもおよぶボリュームは、一方で読みこなすことへの心理的ハードルを上げることにもつながり、結局、少し読んだあとは本棚に置きっぱなしにしていた。

 

けれど最近になって、チームでのプロダクトづくりに寄った仕事をするようになってからは、「どうやって作るのか?」とか「そもそも何を作るべきか?」といった問いに、少なからず悩むことが多くなった。そんな最中に、何のきっかけだったかは覚えていないけれど、たまたま手にとった本書がとても良いことを教えてくれた。上のツイートはそうした、一年越しに本書のすごさ*1が理解できたときのツイートだったのだけれど、一年前に本書を積んだ当時に足りていなかったのは単に経験だったのかもしれない。

 

そうした本書を読む会が近日開催されるということで、これは是非にと思って参加したのが今日の本読み会だった。ちょうど初回から参加できたのは僥倖だった。

 

読み会の内容

 

初回ということでイントロと第1章の前半まで。ツイートでは「イントロで半分くらい時間使ってしまいました。」とはあるものの、しかし本書の執筆にあった経緯、それはイントロで語られているものも語られていないものも含めて、どういう想いでこの本を書いたのかとか、他の著書との違いは何か、といったことはまさに知りたいところだったから、時間を使ってでもそうした話題と、その裏にある熱量に触れられたのはすごく良かった。タイトル決定にあったいきさつ、縦書きの重力の話題*2もまたしかり。

 

イントロダクション

イントロでは本書の構成を示した図*3が添えられていて、本書では下流にあるアジャイル開発について述べる章が先にあり、続けて上流側の価値探索に関する章がある。読み会でも言及されていたとおり、この構成は意図的になされたものであり、著者の軌跡を追体験できるようになっている。

一年越しに読んだ本書に納得感があったのは、プロダクトづくりについて、僕自身もこの順番で物事を辿りつつ困りごとに遭遇していたからだった。Howを教えてくれる方法論はわかりやすいし取り入れやすい。でもそれだけだと「そもそも何をやるのか? なぜやるのか?」といったWhatWhyに答えられない。そこで改めて、これらの問いについても考えを深めてみる、という流れが個人的にマッチしていた。

 

第1章

少し違う業界にいることもあって、第1章の内容は一人で読むにはやや荷が重かった(SoRSoEも知らなかった)のが、今回の読み会で十分とまでは言わないけれど、それなりに追うことができた。

本書の特長のひとつに脚注が充実していることがあって、物理本だと本文を読みながら同時に脚注も参照できるのだけれど、読み会で映っている電子本ではそれができないのが少しだけ惜しい。1.2節の終わりは豊富な脚注がまた考察を深めてくれるのだけれども*4、電子本の組版ではそうした広がりを持つのがやや難しいなと感じている。とはいえ、本文を追っていくだけでも学びが多いことは確かだし、それは読みを追いつつ随時チャットに投げられていく参加者の質問からもうかがうことができる。

 

おわりに

書いていて思い出したのが、本書発売当時に開催されていたイベントにも参加していたのだった。1年経ってから本と再び相まみえて、かつ著者自身による読み会イベントが開かれるのは素直に嬉しい。

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この本読み会はすでに次回(第2回)開催が告知されていて、休日の朝早くからの開催だけど、個人的には夕方から夜にかけてやるよりも参加しやすいのでありがたい。引き続き参加していきます。

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*1:ツイートで併記した「ヤバさ」というのは、本書の編集の方がゲスト出演されていた『はなれより』vol.003で登場した表現であり、ポジティブな意味合いであることを指摘しておく

*2:技術書にしては珍しく、本書は縦書きになっている

*3:今日の読み会で読書メモを図に入れてしまったので、きれいな図の引用は割愛

*4:たとえば働き方の多様性としてのリモートワークについて、1年前の執筆当時は予想だにしなかったであろう、昨今の半ば強制的な普及など