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(作業空間|執筆作業)をととのえる (2)

前回記事からの続き、2記事目。

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ワインバーグの文章読本』第14章の書き出しは以下のように始まっている。

わたしの文章講座では、開講の数週間前に生徒全員に事前の課題を送る。その課題のひとつは、執筆日誌と極上の筆記用具を用意することである。読者も先へ読み進む前に次の課題に取り組んで見るといいだろう。

――ジェラルド・M・ワインバーグワインバーグの文章読本翔泳社 

 

ここでの「次の課題」というのが、まさに引用文中に出てくる「執筆日誌」と「極上の筆記用具」を揃えましょう、というものだけれど、僕が普段使っている筆記用具については前回記事で書いた通り。この記事では課題のもう片方にある執筆日誌について、アナログとデジタルの両面から考えてみる。

 

執筆日誌(アナログ)

以前の記事に書いていた通り、モレスキンが長らく執筆日誌というか、手書きでの書きものの受け皿となっていた。

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いまの手帳、『不思議の国のアリス』仕様の18ヶ月デイリーを使い始めたのが去年の8月なので、これまで半年以上使い続けてきたのだけれど、物理的な紙や付箋を際限なく貼り続けていたら、ここにきて手帳が分厚く・そして重くなってしまった。使いはじめの重さを記録していないので増分は不明だけれども、現時点で790グラムほどあって、だんだんと持ち運びに差し障るようになってきた。それもあって在宅勤務が始まる直前くらいからは、モレスキンは文字通りデスクトップ用執筆日誌にすることにして持ち運ぶのをやめ、適当な個人的な物書き用途に使うことにした。

 

モレスキンを不動としたかわりに、適当でない物書き用途としてのツバメノートを別に一冊用意してやって、かつてモレスキンでやっていたデイリータスクリストをそちらで作るようにした。ツバメノートについては上の過去記事でも少し触れているけれど、記事で述べた設計ノートではなくB5ノートを使っている。B5ノートはサイズも横長なのも(PCのキーボードを使いつつメモを取るのに、横長のほうが使い勝手が良かった)設計ノートと変わらず、しかしより経済合理性にすぐれていて、かつ書き心地は申し分ない。

ノートの書き心地を意識せざるを得ない*1のは、デイリータスクリストは毎日作るものであって、なぜタスクリストがデイリーである必要があるのかについては、以下の記事が参考になる:

note.com

 

ということで、モレスキンは純粋な日記として、またツバメノートは実用性を意識、という2種類の執筆日誌に相成ったわけだけど、このやり方を始めてまだ日が浅いので、もう少し洗練させる必要があるかもしれない。

 

執筆日誌(デジタル)

デジタルの作業日誌を何で取るか問題についてはこれまでも盛んに議論されていて*2*3、しかし個人的な執筆日誌に限っていえば、僕の局所解としてはWorkFlowyを使い続けている。

workflowy.com

 

WorkFlowyはクラウドアウトライナー、今でいうDynalistや昨今流行りのRoam Researchのはしりのようなもので、いま調べたら2014年に使い始めていた。なのでかれこれ5年以上は使っている計算になるけれども、そうはいっても十分に使いこなしているかといわれたらそうでもなく、例えばチェックリスト機能だとかタグの機能、項目の下に書けるノート機能はまったく活用していない。単に構造化できるエディタ、ようはアウトライナーだけど、その機能が使えれば十分だという思いでいて、その目的にかなうツールとして使い続けている。

これは逆に言えば、アウトライナーには編集機能以上のことを求めていない、ということでもある。それは以前に『うちあわせCast』第二十四回でも語られていたように、アウトライナーは動的なもの、という印象を僕自身も持っていて、何かしらの静的な成果物を置いておく場所ではないな、という感覚がある。 

anchor.fm

 

確かこの放送回で得た思考だったと思うのだけれど(うろ覚えで申し訳ない気持ち)、階層化とはある文脈のもとに限定してその要素を位置付けることと理解している。すなわち各要素は限定された文脈下でしか存在しえず、それゆえフラットなデータベース、何か知識をまとめあげたものをアウトライナーで構築するのは困難があるのでは、と考えている。その一方で、最近になって勢力を伸ばしつつあるRoam ResearchPage Referenceの機能を持っていて、これによって各要素はある文脈下に限定されて位置付けられると同時に、なにものにも束縛されないフラットなデータベースとしても位置取れるのかもしれない、という期待がある。いまはベータ版と聞いているRoam Researchだけど、正式リリース版の使い勝手次第では、そしてリリース版では課されるという料金体系次第では、Workflowyからの移行も検討するかもしれない。

 

今回はこのくらいで。『ワインバーグ文章読本』は、第1章から順に読んでいくとちょっと集中力を消耗しがちだけど、順番にとらわれずに拾い読みすると色々とアイデアをくれるので面白い、ということに気付いた。■

ワインバーグの文章読本

ワインバーグの文章読本

 

 

次の記事に続く:

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*1:"自分が使ってて気持ちいいっていうのは、かなり生産性には寄与すると思う" from Rebuild: 265: The Time For Introverts (higepon) 1:13:47

*2:My Note Taking 2018 - steps to phantasien

*3:Rebuild: 265: The Time For Introverts (higepon)