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An Unmoving Arch-Archive

(作業空間|執筆作業)をととのえる (1)

Weekly R-style Magazine 第498号を読んだのでその感想というか、考えたこと。

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椅子を新調した、というエピソードを読んで、そういえば『ワインバーグの文章読本』にも椅子と腰痛の話があったっけと思い出し、本を読み返してみたら第14章「作業空間をととのえる」にその話題が出ていた。記事のタイトルはこの章題をお借りしている。

 

ワインバーグ文章読本』第14章の主張いわく、「仕事道具は買えるかぎり最高のものを買うべきである」と。ここでいう仕事道具――もっと広い言葉でいえば、執筆環境――として、ワインバーグはまずペンを挙げつつ、しかしそのあとに続く環境のプライオリティは人それぞれであるとして、以下のものを例示している(ちなみに例示ののち、「これらは環境改善のほんの手始めにすぎない」と続けている)。 

  • 音楽
  • 空調
  • 日光
  • 外の眺め
  • 犬用のベッド
  • 新しいコンピュータ
  • 古いコンピュータ用の新しいディスクドライブ
  • 新しいワープロソフト
  • ゲームや余計なものが一切入っていない執筆専用のコンピュータ
  • 既存の家具の模様替え
  • 手を置くリストレスト

――ジェラルド・M・ワインバーグワインバーグ文章読本翔泳社

 

おりしも僕も在宅勤務という時宜を得て、自宅での仕事環境を半ば強制的に整えることになったので、この記事と後に続く(かもしれない)記事で、今の自宅の作業空間の様子を記録に残しておこうと思う。

 

ペン

仕事道具としてワインバーグが一番に挙げているもの、そして僕自身が手書きを続けているために未だ手放せないものとしてはじめに書いておくと、ジェットストリーム 4色ボールペンを使っている。たしか2012年くらいから使い始めていて、それまではラミー サファリの黄色のKugelschreiberを使っていたのだけれど(その昔『けいおん!』というアニメがあってですね…)、これは書き出しが微妙に遅れるのと、リフィルにかかるコストの高さがネックとなり、実用を取るべく三菱製に乗り換えたのだった。その申し分のない書き心地に爾来ずっと使い続けていて、今のところ不便は感じていない。机の上には1本を常備、持ち出し用にも数本を確保している。

 

椅子

コクヨファニチャーのAIRFORT(エアフォート)、 たしか2013年くらいに買った。同人サークルkonelが2016年に頒布した同人誌『konel.mag Issue 4』を読んで触発され、買った経緯と体験について以下のような文章を書いていた。

本書でバロンチェアが役立ちに挙げられているのを見て、それならばと思って挙げた。エアフォートはコクヨが出している座って疲れない椅子。背当てに空気を送り込んで厚さを変えられるし、その位置も上下に調節できるようになっていて、背骨のS字カーブにうまくフィットさせられるのが特長。

 

AIRFORT(エアフォート)|オフィスチェアー|製品|コクヨファニチャー

 

以前に座り過ぎで腰痛になったこともあって、良い椅子が欲しいなと常々思ってたんだけど、何かのきっかけで意識が高まって思い切って買ったんだった。はじめ大塚家具に行ってアーロンチェアに座ってみて、でも色々見てみたかったので即決は避けつつ、他の椅子も試そうとコクヨショールームまで出向いた。そして実際に試してみたらこれだという感じだったので買った。この椅子を使うようになってからは腰痛の気配は薄くなった気がしていて、本書にあった「毎日使うものほど投資を惜しんではならない」みたいなのは確かに実感してる。

 

文体から感じられるかすかな違和感は、いまの自分が当時の自分とは不連続な存在なのだろうか、と疑わせるのに足るものだけど、しかし書かれている情報に付け加えるところはなく(強いてあげるなら、執筆当時よりさらに3年間、まったく支障なく使い続けている、という事実だろうか)、やはり当時からの地続きの自分がいることを実感する。

 

椅子の体験は人それぞれなので、前評判は参考程度に、実際に座ってみるのが確実だと思う。大塚家具かメーカーのショールームに行けば座れるだろう。あとはたとえお高い椅子であっても、ずっと座り続けるのはやはりご法度なもので、定期的に立ち上がったほうが良さそうである。僕も腰痛の気配は薄くなったとはいえ、座りっぱなしだとふたたび気配が現れてくるのを実感しているので、1時間に一度は席を外すようにしている。

 

おわりに:執筆作業を整える

今回の記事ではここまで、後に続く(かもしれない)記事では、ワインバーグが例示した項目の中から、いくつかをピックアップして書いてみたい。

 

在宅勤務で出来ることが限られる中、しかし限られているはずの出来ることに対する忙しさは減ることがなく、ここ最近は自分の中で執筆活動、もっと広くいえばアウトプットの余裕が失われていた。それでも今回の記事を(なかば中途半端でも)上げようという気になったのは、生活を仕事だけで終わらせたくない、というある種の意地のようなものかもしれない。同じく読んでいたライフハック・ジャーナル #15にあった一節、「平均的に空いている時間が30分ならば、その30分のなかで終わるルーチンを作り、それを回します」という部分も、今回の記事を上げるにあたって大いに背中を押してくれた。空いている時間がどうしても確保できないのなら、確保できる範囲内でやれることを新たに定義するべきだと。

 

どう転ぶかわからない、あまり深く考えずにこの記事を書き始めているけれども、自分の中での執筆作業を取り戻し・そして整えるべく、今しばらくは少しずつ書いていけたら良いなと思う。ここまで書くのに1時間とちょっと、ほぼ一本道で積み上げた。■

 

第2回に続く:

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