雛形書庫

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本読み日記: アムンセンとスコット

ニュータイプの時代だったか、以前に読んだ山口周の著書から南極点到達のエピソードに興味を持った。 なにか良い本がないか探したところ、ちょうどResearchat.fmエピソード116をきっかけに読んだカナダ・エスキモー (講談社文庫)の著者が本を著していた。 本の内容もさることながら、解説を山口周が書いていてこちらも面白く読んだ

今年読んだサイコロジー・オブ・マネー 1 とかThink clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法からは、個人の努力を超えた運のやるせなさというものを感じてしまうけれど、一方で本書の解説であったり、あるいは最近読んでた ”研究にどう取り組むべきか 2 ” を読むと、あらゆる事象を運に帰することもできないのかもな、と思う。ここに正解はない

アムンセン隊の拍子抜けするようなスムーズさは一見すれば「運の良さ」に思える一方で、スコット隊を襲う無数の困難なトラブルは一見すれば「運の悪さ」に思えるわけですが、それは表面的な理解でしかありません。極地で起こりうるありとあらゆるトラブルを事前に想定し、それらを未然に防ぐ入念な準備をしているからこそ、アムンセンの隊はトラブルらしいトラブルを起こさずにスムーズに極点に到達することができたのです。(p.341)