雛形書庫

An Unmoving Arch-Archive

『グリザイア ファントムトリガー Vol.5』――いろんな "姉妹" があっていい

はじめに

有坂先生の赴任に始まり、レナ、トーカ、クリスの順に活躍を描いてきた新章もこれで5話目、ムラサキにフォーカスした本巻をもって美浜の四姉妹はようやく一巡した。既巻では現在進行形での彼女らの活躍ぶりや成長が見られたのに対し、本話では過去の回想シーンがメインで物語としての大きな進展はない。かつ、既巻では銃火器の薀蓄、あるいはサバイバル術、あるいは食レポといった、わりとフィジカルなディテールに寄っていたのが(そしてそれらこそ本シリーズの魅力だと思っていたものが)、ここにきて極めて抽象的な "秘伝の技" の概念が出てきたあたりには少しの戸惑いを覚えた。しかし回想シーンで静かに続くムラサキのモノローグは、ただ彼女の声(CV種崎敦美ココ重要))を聴くだけで心地よく、そしてそれは良い体験である。そんな第五話のタイトルは『アネ、カエル (SIS IS COMING BACK)』以下ネタバレ注意です。

 

  • はじめに
  • 現在進行形な前半の様子
  • 過去回想的な後半の様子
  • 耳に良い台詞
  • まとめ

 

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『読書の価値』――本を通して人に会う

本だけが文化ではない。人が創作したものは周囲に沢山ある。ただ、本ほど効率良く、直接的に情報や思想を伝えるものは少ない。時間当たりに伝達される情報量が圧倒的に多いのが、本の特徴である。 (p. 90)

連想のきっかけとなる刺激は、日常から離れたインプットの量と質に依存している。そして、その種のインプットとして最も効率が良いのが、おそらく読書だ、と僕は考えているのだ。 (p. 159)

 

上の引用はいずれも本書にある主張。本を読むということは、効率的に他者の思考に触れること。かつ、効率的に日常から離れたインプットを得ること。その観点で言えば、森博嗣の読書の来歴が書かれた本書は、彼の思考・着想に最も近いということになるだろうか。本書を読めば彼の人格に近づける、のかもしれない。

 

  • 他者の思考を覗きこむ体験
  • 森博嗣の読み方
  • 本とは人
  • 読書の価値

 

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『今日からはじめる技術Podcast完全入門』――現在進行形で語られるPodcastへのいざない

Podcast好きなので読んだ。BOOTHでPDF版が買える。

2020/09/12追記:Kindle Unlimitedでも読めるようになっている様子。

 

yatteiki.booth.pm

 

 

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