雛形書庫

An Unmoving Arch-Archive

Improve Your Health(-Experience)

今週配信されたRebuild: 281ではゲストのTaro Minowaさんが睡眠について語っていて、miyagawaさんが使っているというfitbitの話と、それから先日のDaisuke Muraseさんがゲストの放送回が話題に挙がっていた。この回でMuraseさんが紹介していたOura Ringを僕も試し始めて、だいたい一ヶ月が経ったのでその記録。

ouraring.com

 

 

経緯

ここ数年ほどfitbitのAltaHRを使っていて、これは腕時計型の活動量計であって、日中の活動量と睡眠を計測してくれるもの。だけどエピソード中でmiyagawaさんが指摘している通り、毎朝fitbitが提示してくる睡眠スコアにやや甘さがある気がしていて、本当にこのスコア通りにいい感じに寝られているの? という疑問があった。

 

fitbitを着けたまま寝ると、翌朝に睡眠スコアとして睡眠の質を100点満点で出してくれる。僕の場合はたいてい80点台の数字が出てきて、あなたの睡眠の評価は「良い」ですと言われるのだけど、スコアの算出方法が不明なので、このスコアは一体なにを表しているのかなという気持ちが出てくる。

スコアにとって睡眠時間が重要らしいこと、そして就寝・起床時刻は関係ないらしいことはなんとなくわかっていて、たまに90点以上の「非常に良い」評価が出たときには、たしかに睡眠時間がいつもよりも長い。しかしそれ以外の要素に対する感度が乏しいので、いつみても80点台なのにはちょっとした疑問と、あとは若干の飽きが生じつつあった。

 

そもそもfitbitとは活動量計activity trackerであって、日中の活動のトラッキングに重きをおいている。それに対してRebuild: 277のshow notesにあるOura Ringsleep and activity trackerと謳っているとおり、睡眠の計測がプライマリになっている。僕はどちらかというと睡眠の計測がしたかったので、あと指輪型の活動量計の物珍しさもあいまって、エピソードで紹介されていたOura Ringを試してみようと思い立った。

調べてみると世の中の活動量計には腕時計型と指輪型があって、指輪型の活動量計にも結構な種類が存在すること、そして指輪型にはMotivOura Ringの2大勢力があるらしいことがわかった*1。結局のところOura Ringを選んだわけだけど、先日のRebuildのエピソード、聴き慣れた人からの口コミというのは、こういう場面での判断に大きな影響を及ぼすというのが実感としてある。

 

経過

Oura Ringは指輪なので、個々人の指のサイズにあったものを購入する必要がある。Oura Ring公式サイトからの購入プロセスとして、

  1. 注文後、まずはサイジングキット(無料)が送られてくる
  2. サイジングキットで試したのち、サイズを決めて改めて注文
  3. 本体が送られてくる

という手順を踏む。ただしサイジングを(highly recommendedではあるものの)スキップしていきなり本体を送ってもらうことも一応は可能。

気長に待つつもりでいたら、check outからサイジングキットが送られてくるまでに3~4日、サイズを決めて注文してから本体が届くまでに1週間程度と、そんなに時間はかからなかったように記憶している。送られてきた箱を見るとDesigned by Oura in Finland - Assembled in Estoniaの表記があって、ヨーロッパから送られてくる。

 

計測

sleep trackerを謳っているだけあって睡眠判定が厳しい。アプリと連携して使うことで、Oura Ringもfitbitと同様に睡眠スコアを100点満点で出してくれるのだけれど、だいたい60点後半~70点台前半のスコアを提示してくる。70点台を割り込むとPay attentionの警告が出るので、警告を出すまいとちょっと睡眠を頑張ろうという気になる。

Oura

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  • Oura Health Oy
  • ヘルスケア/フィットネス
  • 無料

apps.apple.com

 

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結構頑張って寝てようやく71点。先は長い(iOSアプリより取得)

 

一ヶ月ほど使ってみて、深い睡眠はよく出るものの、レム睡眠が出ないことがわかってきた。たとえば上のグラフの内訳はレム睡眠 (REM) が14%、浅い睡眠 (LIGHT) が47%、深い睡眠 (DEEP) が39%となっていて、アプリの評価いわくこのレム睡眠の割合、時間にして48分というのは短いという。ちなみに同じ日のfitbitの記録によればレム睡眠は1時間10分となっていてやや開きがある。そしてこのあたりはかなり個人差の大きい領域だと思う。

深い睡眠(ノンレム睡眠)とレム睡眠の違いは、専門家によれば 

ぐっすりと眠っている深いノンレム睡眠に移行すると、脳は休息状態に。

しかし、全身の筋活動は活発に行われ、寝返りをうつなど疲労が溜まっている部位の回復をしてくれます。この活動により、脳と身体がリフレッシュされ、日常生活で得た疲労を回復するのです。

一般にレム睡眠は浅い眠りと言われていますが、脳は活動した状態で夢を見たりしているのです。この時、筋肉は緩んでいて身体は全く動かない状態になります。

「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」とは?意外と知らない眠りの種類 | SleepediAより引用)

とのことなので、デバイスの加速度計で体の動きをトラッキングすればレム睡眠かどうかの判定はできそう。この判定のさじ加減によってスコアが大きく変わってくるのだと予想していて、もうしばらく使い続けて様子を見たい。

 

ちなみに1時間ほど席を外さずにいると、アプリからの通知で立ち上がってストレッチしませんかと言われる(いま通知がきた)。

 

その他の気づき

よくなくす

Oura Ring本体は結構な防水仕様になっている*2けれど、それでも洗い物や料理をするときには外している。無意識に外すとどこに置いたかが忘れてしまい、かつこれまでのfitbitよりもサイズが小さいので見つかりにくい。なくしても今のところは毎回見つかっているので問題はない。

 

時間が見られない

当初はfitbitを外してOura Ringに完全に置き換えようとしていたものの、いざfitbitがなくなると手首で時刻が見られないことがそれなりに不便であるのに気付いた。結局fitbitは手放すことなく、2つのデバイスを併用して生活している。

 

充電に専用クレードルが必要

充電は指輪のサイズに応じた専用のクレードルで行う。このクレードルがないと充電できないけど、それはこれまで使ってきたAltaHRでも事情は変わらないので、まあ許容かな。

それよりも問題はアフターサービスのほうで、現時点では国内の販売代理店は無いみたいなので、もし本体が故障した場合、あるいは充電用クレードルが壊れたとしてもちょっと面倒なことになりそう。

 

ゲームのコントローラーと干渉する

Oura Ringは指輪にしては結構な大きさなので、パッドで格ゲーなんかをやっている*3とつい手に力が入ってしまい持ち手にぶつかる。使い始めて間もない頃、ふとゲームパッドを見たら背面が削れていて、なんでかと思ったら指輪が当たる位置だった。ゲームに限らず、ものを握るアクティビティとはあまり相性が良くない。この指輪を左手中指で使っているのも良くない一因かもしれない一方で、公式発表によればOura Ringは人差し指、中指、薬指のいずれかにつけることが推奨されている*4

 

おわりに

Rebuildのエピソードで語られていた服のサイズよろしく、良い気持ちになって改善するのは自身の健康ではなく健康体験なのかもしれず、あるいは伊藤計劃ハーモニーを読んでいると、生きることをアウトソースしすぎるのも考えものだなと思わされる。それでも日々の記録を取っていくことで自然と意識が向かうし、そこにちょっとした面白みや楽しみもある。今回試したOura Ringは活動よりも睡眠を第一に記録してくるデバイスで、結構な本気度でスコアをつけてくれている印象がある。睡眠に気をつけたい人にとってはわりと良さそう。そしてRebuildで紹介されていた『睡眠こそ最強の解決策である』は未読なのでこれから読む。

 

*1:Motiv vs. Oura Ring: Which Is The Best Sleep and Activity Tracking Smart Ring?

*2:Is the Oura Ring Waterproof? – Oura Help

*3:これまでずっとアケコン勢でした(Choice of Crucial Controll(er) - 雛形書庫)が、先日聴いたResearchat.fm ep.53をきっかけにパッドに乗り換えた。この経緯については機会があれば書きたい

*4:https://ouraring.com/sizing