雛形書庫

An Unmoving Arch-Archive

『ワンストップPodcast』――あなたの声を待ってます

はじめにお知らせ

親方Projectさんより新刊合同誌『ワンストップPodcast』が出ます。頒布の詳細は技術書同人誌博覧会の公式サイトより、以下の通り。

日時:2019.07.27(Sat.) 11:00-17:00

場所:大田区産業プラザPiO

サークルスペース:【E-05】親方Project

 

 
すでにいくつかの情報が公開されていて、にんげんがへたエフエムの最新エピソード、本書の表紙イラストを担当した湊川あい (@llminatoll) さんによる宣伝記事、そして頒布に先立って収録されたおやかたam特別編を聴くことができるので、本書の内容や雰囲気を知るうえで参考にされたい。

 

ningengaheta.me

 

note.mu

 

anchor.fm

 

僕は第1章の本文の一部と、付録にあるPodcastリスナー向けアンケートを寄稿した。それらは割合でいえば、100ページ以上ある本書のごく数ページに過ぎないのだけれど、ご好意で執筆陣のSlackチャンネルに加えていただき、本書が出来上がっていく様子を間近で見ることができた。上で引用した紹介ツイートにもあるように、Podcastに関する多くの知見が詰まった本になっている。これからPodcastを始めたい人に限らず、Podcastが好きな人にはぜひ手に取っていただけると良いなと思う。

 

  • はじめにお知らせ
  • 本の章立てと位置付け
  • 内容:Podcastの技術
  • 内容:Podcastへの思い
  • 執筆から得られたもの
  • おわりに

 

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Deliberate Derivative of Essay#25 in 『月夜のサラサーテ』

マッハ」とは、音速を基準にした速さの単位であって、エッセイにもある通り、「おおよそ一秒間に三百四十メートルの速さである」。これは時速に換算すると「千二百キロほどの超高速」になる。一方、「普通の旅客機は時速九百キロ程度」であるから、この速さをマッハに直すと、900を1200で割ってマッハ0.75となる。本当?

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尾澤愛実『現場の「ズレ」を解消するコミュニケーションメソッド』を読んだ

本書表紙には「マネージャーのための関係構築ヒント集」とあり、また冒頭の「はじめに」にも見られるように、主な対象読者はマネージャーである。今の僕はマネージャーではなくメンバーであって、その点では本書の想定する読者ではないのだけれど、それでも現場の「ズレ」については思うところがあったので読んでみた。あるいはそう遠くない将来、自分がマネージャーの立場になる可能性もゼロではないだろうから、そこでは今の自分よりももっと良い感じになっていたいと漠然と思いながら読んだ。

 

 

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mochikoAsTech『技術をつたえるテクニック』を読んだ

はじめに

副題には「分かりやすい書き方・話し方」とあり、書き方にかんしては以前に何冊か読んでいたし、また話し方についてもプレゼン関連の本をいくつかあたっていたから、本書を急いで手に入れるということはしなかった。しかし実際に読んでみると、本書がカバーしている "分かりやすさ" は僕の持っていた意識とは少し異なっていることがわかった。

 

僕はおもにアカデミアにおける分かりやすい書き方や話し方、それらは論文執筆や学会発表のお作法であるけれど、そういったものをこれまで意識してきた。一方で本書はもっと広い意味での分かりやすさを取り扱っていて、そこには読者層を想定し、また読み手の準備をうかがう姿勢があり、そして登壇では "話し" をどうやって分かりやすくするかという視点があった。そうしたものは僕に新たな気付きを与えてくれたし、かつ分かりやすくつたえるための有効なテクニックとして、心に留めておきたいなと思わせてくれるものだった。

 

 

  • はじめに
  • 読者層の想定/読み手の準備をうかがう姿勢
  • "話し" をどうやって分かりやすくするかという視点
  • 良い聞き手であるための心がけ
  • おわりに:「知らないけど、興味はあります」

 

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KANE『言葉のセイチョウ・ジャーニー』を読んだ

昨年秋の技術書典5から積んでいた『セイチョウ・ジャーニー』をようやく読み始めていて、そこで見つけた第4章が面白かったので、その感想というか考えたこと。書き手であるKANEさんのPodcastおしごとamでは本書とこの章を紹介している特別編があるので、さわりだけ知りたいという方にはそちらが参考になる。

 

soundcloud.com

 

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教育心理学を学ぶ会『理論と事例でわかる自己肯定感』を読んだ

冒頭に出てくる「日常的に現れるお困りごと (p. 1)」は強力なフックで、僕はこのツイートで見かけたのをずっと覚えていて、あとでBOOTHで買って読んだのでその感想。

 

 

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yagitch『継続的にアウトプットする技術』を読んだ

技術書典6の新刊を探していてBOOTHで見つけたので買ってみた。さきに読んだ『はじめる技術 つづける技術』*1は始めることと続けることの両方をカバーしていたけど、本書は続けることだけを扱っていて、しかもその対象はアウトプットにフォーカスしている。

 

 

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FORTE『はじめる技術 つづける技術』を読んだ

最近聴いてるPodcastaozora.fm@FORTEgp05さんが技術書典6で新刊を出してたので、その感想。

 

 

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ご注文はGTDですか?――『「やること地獄」を終わらせるタスク管理「超」入門』

はじめに

たとえばGetting Things Done (GTD) という名のタスク管理手法、聞いたことはあるけれども中身は良く知らない、そういったものを詳しく知りたいと思って、あなたは本書にたどり着いたのかもしれない。その目論見は外れることなく、本書ではGTDをはじめとする様々なタスク管理手法の概念が紹介されている。それにとどまらず『「超」入門』と掲げられたタイトルの通り、タスク管理手法以前の話題、タスク管理で出てくる基礎用語やツールに関して、やはりそれらの概念が説明されている。だがそれらよりも大切なのは、タスク管理は万能薬ではないという事実であって、これを人間の不完全性・不合理性の観点から示しているのが本書のポイントである。「『自分のトリセツ』で人生の舵を取り戻そう!」とは本書オビにある言葉だけど、取り戻せるのはたかだか舵だけであること。そして、舵を操って向かう先はタスク管理手法によってではなく、あなた自身で決めなくてはいけないということ。

 

  • はじめに
  • ひとつめの軸:言葉(概念)を道具として使えるようになること
  • ふたつめの軸:人間の不合理性
  • おわりに
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『悲観する力』――気分によらない悲観主義

フランスの哲学者アランはその著書『幸福論』において、「悲観主義は気分によるもの」と説いた。その悲観主義とは、本書にある言葉でいえば「単なる心配や諦め」、それらは漠然と心に浮かんできてしまうものたちであって、そうしたものに支配されている様子を指しているのだろう。しかし本書のいう悲観はそうではない。本書で示される悲観とは、「疑う」そして「余裕を見る」ことに基づいた、未知の物事に対するきわめて冷静な態度である。

 

  • 楽観と悲観
  • もうちょっと考えよう
  • 具体的なヒント
  • もっと具体的なヒント:悲観の練習
  • おわりに
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ごりゅごcast『Tak.さんにインタビュー【アウトラインプロセッシング入門】』を聴いた

最近はまっているポッドキャストごりゅごcastの久々のインタビュー回を聴いたので、その感想。

 

anchor.fm

 

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『戦闘機になれるパーカー』――戦闘機デザインの再定義

 

かつて旧陸軍の戦闘機「飛燕」を設計したことで知られる航空機設計者・土井武夫は、「設計はアート・オブ・コンプロマイズ (Art of Compromise)」と語ったとされている*1*2

 

*1:航空機設計者 土井武夫 生誕110周年記念企画展 努力の人生 図録

*2:設計はアート・オブ・コンプロマイズ 土井武夫氏に聞く

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yatteiki.fm 第58回『最強のwikiとは【提供:Scrapbox】』を聴いた

例によってやっていき手のラジオを聴いたので、その感想。

 

yatteiki.fm

 

まとめ

  • wikiの多様性と注がれる情熱がわかった
  • Scrapbox書いてて楽しい
  • 知識を共有する活動をやっていく

 

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『知的生活の設計』――興味で築く大伽藍

はじめに

副題には「『10年後の自分』を支える83の戦略」とあり、同じ著者による前著『ライフハック大全』がいわば "戦術" であったならば、本書はそうした戦術を束ねてひとつの方向性へと向かわせる "戦略" である。著者は気候変動を専門とする研究者とのこと、知的生活の実現に向けてきわめて定量的にロジックが展開されていく様子には共感があり納得がある。カバーする領域は書籍、手帳、情報カードといった物理的メディアから、ウェブサービスなどのデジタルツール、そしてマインドセットまで幅広く、情報の収集・整理と文学に対する著者の見識が窺える。ライフハックに関して著者がこれまでになしてきた活動は、10年という長い期間を読者にとって想像可能なものとし、そして同時に読者の知的生活を後押ししてくれる。そんな本書は、「『自分自身の興味や発見を積み上げることでやがて未来がひらけるだろう』という確信に向けたマニフェスト (p. 004)」でもある。

 

  • はじめに
  • 本書の設計
  • 書斎の設計
  • 人生の設計
  • 知的生活はなんの役に立つのか?

 

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主観と客観のはざまに表彰する『konel.mag Issue 06』

はじめに

一年半ぶりの新刊は想像の斜め上を行く"賞状"、その意外性と希少性には思わずめでたくなってしまう一方、同人誌の内容はこのサークルらしい穏やかさと堅実さがある。特集にある「勝手に表彰! なんでもアワード2018」では多岐にわたるプロダクトが表彰されていて、そこで語られる経緯はロジカルに突き詰めて得られたというよりかは、どちらかというと著者ら個人の体験がベースになっている。しかしそれは著者らの、個人的な体験を踏まえたうえで本当に称えたい、という気持ちの裏返しでもあることは容易に想像される。そしていざ自分でも何か表彰してみようとすると、何をノミネートするかの判断、当たり前すぎないけどマイナーすぎない絶妙なところに、実は個人の力量が問われているということがよくわかる。そんなkonelがコミックマーケット94に合わせて出した久しぶりの新刊、告知サイトはこちら。

 

konel-works.com

 

  • はじめに
  • 賞状の意外性/表彰の希少性/ウェブで読む体験
  • 特集の内容
  • 試しになにか表彰してみる:SONY ICF-51
  • おわりに

 

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