雛形書庫

An Unmoving Arch-Archive

新年読み

一年の区切りに自分を顧みる読みものがあるとよいと思って、自分はまだそういったたぐいの確たるものを持っていないのだけど、少し前に同僚から教えてもらったRichard W. Hammingの「あなたとあなたの研究」はいいかもしれないなと思った。この機会に読み返した

日本語訳はネットにいくつかあるようだったが決定的なものが見つからなかったので、原文らしきもの

追記:以前に教えてもらったときには以下のページと、ページから辿れる今津さんの訳を読んでいたのだった。うまくGoogle検索に出てきてくれないとは

tumada.medium.com

メイキング・オブ・牽牛花

牽牛花アドベントカレンダーは前半はなんとか追いついていたものの、途中からは余裕がなくなって更新がストップし、年末までのロスタイムを使ってどうにか完走と相成った。

  • 去年は見込み通りに完走できたが、今年はストックともに足りていなかった。(でもそういう挑戦も大事なはず…)
  • 記事の中身でいえば、「○○2023」形式での年間振り返り記事も書いていたものの、体感的には日々の日記っぽい記事が多かったように思う。
  • 書けなかった日をそのままにするのではなくて、後から書いたときに埋めて書いてしまったのは今思うとよくなかった。おかげで「どの日が書けなかったのか」の記録をロストしてしまい、分析と対策のしようがなくなった。次回はおかさんのアドベントカレンダーのように書けなかった日は空欄を残しておくようにしたい
  • Xへの投稿は「期日通りに更新できた場合には自動投稿を設定し、そうでない場合には投稿なし」の運用にしてみたが、結果的に途中から投稿がまったくなくなった。今回のアドベントカレンダーを通じてもう少しXを活性化させたかったので、これはあまりよい方法ではなかった。

最終日は全24記事の振り返りで締めくくることとしたい(作成中)

参考:去年の記録

tl.hateblo.jp

初雪日記

この記事は今年の1月か2月ころに雪が降ったのに合わせて書いたものの、投稿せずに下書きに残っていた。 すでに春を通り越して夏になり、冬が来たが、またもう少し待って春になったらやるのもよかろう


はつゆきさくらという古いゲームが10周年らしくて、このゲームはいまでも積んでいる 1。 ゲーム内容には変わりがないようなので周年版を買うことはない

sagapla.net

卒業の物語、もう少し待って春になったらやるのもよかろう。 それまでは他のゲームを崩していく

執筆環境2023

執筆環境についてはかつて書いていた通り、今でもVSCode拡張機能Foamを入れて使っている。 キーボードは当時は分離キーボードMD770を使っていたようだが、今年の始めに散財が生じてKeyboardioのAtreusに乗り換えたのだった。 Atreusはミニマルな非分離キーボード、ポッドキャストのRebuildでmiyagawaさんが紹介していたのをきっかけに知ったもの。 数字を打つときにキーボードを見なくてもタイピングできるようになること、また小さくて持ち運びが容易なので、家と職場で同じキーボード環境を再現できると期待して買ってみた。

www.youtube.com

キーが少ないぶん複数レイヤーの活用はほぼ必須であり、キーマッピングChrysalisという専用のソフトを使って行う。 マッピングでは装飾キーとの組み合わせやマウス操作にも柔軟に対応できるようになっている様子。 かつて乗り換えたEucalyn配列をベースにマッピングを鍛え上げた今ではスムーズに使えており、特に問題はない。


執筆環境といえばEvernoteについて、Discordを使うようになってからは課金を打ち切って無料ユーザーに移行していたが、今年の12月になっていよいよ使えなくなってしまった:

news.mynavi.jp

いま自分のアカウントには4000近くのノートがあって、それらの閲覧なり編集はできるのだけど新しくノートを作成することはできない。 自分のアカウントを見ると「2013年1月よりEvernoteユーザ」とあって、当時はEvernote100年続くのだろうと信じて疑わずに嬉々として課金して使っていた。 プレスを見ると2008年に創業とあり、15年程度でだいぶ先行きが怪しくなったように感じるが大丈夫だろうか?

ここから得られる教訓としては:どんな技術も陳腐化するのだということ、そしてツールにとらわれずに内容を大事にしましょうということ。後者は言い換えればコンテンツとその見た目(なり操作なり、ソフトウェア側から提供されるもの)は分離しておいたほうがよさそう、ということで、いまのVSCode+Foamの組み合わせはそれが実現できているのでありがたい。 かりに将来これらのソフトが使えなくなったとしても手元にテキストデータは残り、UTF-8フォーマットが読める環境が消滅しない限りデータとしては存続するだろう。

一方で、どんな技術も陳腐化するならばずっと枯れた技術でいいじゃんとはならずに、ときおり世の中を一新させてしまうものが出てくるのもまた事実で、その目利きをどうするかが難しいところ。 かつてEvernoteを使っていた人たちは今ではNotionなりMicrosoft Loopに移行してそうだけど、自分ではまだこれらを試したことはなく現行の環境にとどまっている。 そのことの答えは後になってみないとわからない。


Evernoteへの課金をやめた代わりにサブスクを始めたDiscordには今でも課金し続けている。 本来の用途とは違えどメモアプリとしても有用であって、思いついたことはつぶやき用のチャンネルにでも適当に書いておけば、あとはVSCodeの物書きに引き上げたときにリアクションをつけておけば転記済の目印になる。 同じテーマで長く書きたいならスレッド(最近デザインが変わった)を生やせば便利に使える。 スマホWindowsに提供されているアプリは継続的にアップデートされていて応援しようという気持ちになるし、なによりもゲーマー向けであるところがよい。 この最後に挙げた美徳ですべてをひっくるめて使い続けている。

discord.com

本読み2023

  • 住環境が変わったことで、図書館に足しげく通っていたらしい去年とは一転して図書館に行かない生活になった。読書をしないことで浮いた可処分時間がゲームに回ったと思えば、去年よりも確実に長くなっていたゲームのプレイ時間 1 の実績としては道理である
  • なので新しい本を開拓することは少なく、持っている・あるいはすでに読んだことのある本を再読することが多かったように思う
  • 去年にならって今年もブックサンタ活動をしたかったが、参加せずに終わってしまったので残念。来年は12月にもう少し余裕を持ちたい。
  • あらBさんのアドベントカレンダー記事にならって本の冊数を数えてみると、昨年はKindleが1400という数字だったらしく、それが今年は1588となっているので180冊くらい買っていたらしい。本当かなと思って内訳をよく見たらセールでめちゃくちゃ安くなってた漫画を100冊くらい買っていたので、正味の増分は80冊ほどといったところか。感覚としてもまあ合っている

本読み: Hypersonic and High-Temperature Gas Dynamics

かつて読んだComputational Fluid Dynamics: The Basics With Applicationsの第2章では流体の支配方程式が導出されていて、その中でエネルギーの保存式については以下のような註釈がついていた:

As stated earlier, other forms in terms of static enthalpy h and total enthalpy h+V2/2 can be obtained by similar manipulations. (For example, see Ref. 2 for these other forms.)

エンタルピーの保存式がどうなるのかよくわからなかったので、Ref. 2すなわち同じ著者の本であるHypersonic and High-Temperature Gas Dynamics (Aiaa Education)を借りて読んでみたら第17章に確かに書かれていた:

(全エンタルピーの保存式(あとで書く))

(エンタルピーの保存式(あとで書く))

これらの数式を見ているとエンタルピーの保存式には圧力pの実質微分が出てきていて、圧力pの実質微分はこれまでお目にかかったことがなかった。 一方で全エンタルピーの保存式のほうが見知った項が並んでいて見通しがよい

本書は初めて読んだが、タイトル通りの極超音速と高温気体の話がとても手広くカバーされていて、しかもこの著者ならではのロードマップも載っていてたいへん親切であった。手元に置いておくのもよさそう(だが、お高い

フォント探しの旅

2023年を振り返って、よかったことのひとつにフォント探しの旅が無事に終わったことが挙げられる。 今はUDEV Gothicを使っている。

github.com

経過

周囲を観測しているとどうも自分は人並み以上にフォント(もしくは字体)に興味があるように思われて、それは例えば美少女ゲームのフォントを変えてみたり 1アプリのフォント変更の話に現れている。 プログラミング用のフォントも例外ではなく、大昔にみつけたBitstream Veraを長く使っていた。 より具体的にはBitstream Vera Sans Monoを使っていた。アルファベットのオーとの区別で、数字のゼロの中に点が入る個性的なフォントだった。 しかしこれだとアルファベットはうまく表示できるものの、日本語の表示がうまくいかない。

あるとき人からJetBrains Monoというモダンなかっこいいフォントを教えてもらって、これはいいということですぐに導入した。 細身の背の高い文字というのが自分にとっては見やすくて好きで、ひところはIosevkaも検討したが結局はJetBrains Monoに戻ってきて落ち着いた。 しかしやはり日本語には対応していないので、よい日本語フォントを探してくる必要があった。

使い勝手のよい日本語フォントとしてはBIZ UDゴシックがほぼ最強なのではないかと考えている。 おそらくWindowsにはデフォルトで入っているので追加のインストールを必要としないし、読みやすくてクセがないので仕事で使っていて違和感がない。 (なぜこれがデフォルトの字体設定にならないのか不思議まである。) ただしアルファベットは読みやすさの観点でJetBrains Monoで表示したい場面もある。 両者をうまく切り替えながら使いたいが、どうするか。

そんな中で今年のわりと早い時期に、冒頭のUDEV Gothicがあることを知った。 このフォントはBIZ UDゴシックとJetBrains Monoの両者のいいとこ取りをしたフォントであって、プログラミングにも困らないし普段の文字書きにも困ることがない。 VSCodeのFont Family項目を始め、アプリのフォントには "UDEV Gothic JPDOC" とただ一つ指定するだけでそれ以上の煩雑な設定は不要になった。 作者の方に感謝したい。

作者の方はUDEV Gothic以外にもいくつかのフォントを作成していて、例えば以下の記事では参考文献も含めてフォント周りの勉強になって面白かった。

qiita.com

参考;他の方のおすすめ

他の皆さんのおすすめフォント話も聞いてみたい。okaさんはMyrica

note.com


  1. この記事でPurple softwareハピメアが可変幅に対応していない件(おそらくシステムが古いのであろう…)を書いたが、その後になってリメイクするとは思わなかったシリーズその3、ハピメア REGRET ENDが発売されていた。こちらであればついに刻ゴシックが綺麗に表示されて最高のプレイ環境が実現されるのではないかと期待しているものの、まだ試していない

本読み: 手を伸ばせ、そしてコマンドを入力しろ

普段は同じ著者の電遊奇譚 (単行本)を読みがちだけど(ひとつひとつの物語が短いのでさっと読める)、今回読み直してみたらFPSにおけるチーム戦の描写のすごみ、熱量に圧倒された

はっきり言って、このゲームで強くなったからといって、誰かが金をくれたり、生活していけたりするわけじゃありません。(中略)ただ大切なのは、何かひとつのことを僕はここまで突き詰めてやったんだということなんです。――自負です。それは自負のようなものなんです。それがあれば、いつかこのゲームを辞めることになっても、その自負が僕の背中を押すと思います。そうだ。だから僕はこのゲームをプレイしつづけているし、誰よりも強くなろうとしつづけているんです (p.122)

このくだりはさきの電遊奇譚の記念すべき初回である其一にも出てくる。 そういった自負に生かされる場面もあるのだと思う

また藤田氏の作品が読みたいのだけど、別冊文藝春秋 電子版35号 (2021年1月号) (文春e-book)での連載第二話以降はあまり書いていないのかな。 ゲームレビュー等々の寄稿は最近もあるみたいだが、まとまった形の書籍として手に入らないのはなにより残念だ

寡作の作家、というと南井大介を思い出す。 ピクシー・ワークス (電撃文庫)小さな魔女と空飛ぶ狐 (電撃文庫)の2冊が出たのち、それらとは少し方向性の違ったラノベを数冊出して以降は音沙汰がなくなってしまった。 とくに2冊目にあったテーマはわりと重いもの 1 だったので、あまりラノベ向きではなかったのかもしれないが、いずれにせよまた機会があれば読みたいものである。そのときは表紙はまた大槍先生でお願いします…

以前に書いていた気もしていたので過去記事を検索してみたらヒットした。その記録として

tl.hateblo.jp

本読み: Armored Core VI Pilot's Manual

パイロットマニュアルを手に入れたはいいが、ネタバレを恐れてまだ読めていない

Future Press発行のゲーム本は圧倒的な質量で所有欲を満たしてくれるのでよい。 SEKIROのときには幸いにして入手できたものの、Bloodborneは時すでに遅しで絶版となっていた。 今秋に再版の気配があったので思わず投票したが、最終的にはDARK SOULSに決定したらしい(でもダクソもいいよね):

そういえば今年の初めに読んだSR-71 1 のFlight Manualが(もうだいぶ前の話だが)公開されていたのを思い出して調べてみたらネットにあった。 中にはパイロットしか対象としていないであろう項目もあるが、それでも読んでいて面白い。 調べているうちに日本語訳本も出てきた

www.sr-71.org

ゲーム2023

まにーさんのアドベントカレンダーにあった記事を読んで年間のゲーム統計が取れることを思い出し、自分でも試してみた。

note.com

今年はSwitchはほぼプレイしていないことから、以下はあなたのPlayStation® 2023 | PlayStationから取得した情報:

  • 総プレイ時間は327時間で、そんなにゲームしてたのか…という感じで少し驚いてしまった。
    • 去年はPS4で94時間、Switchで約100時間の計200時間程度だったので、ざっくり1.5倍になっている
  • 内訳をみるとGBVSが192時間、スト6が93時間、残りがその他のゲーム
    • 格ゲーばかりで幅の狭い遊び方をしているので、もっと手広くプレイすべき
    • たとえば積みゲーはいくらでもある 12

GBVSは今年春のふりかえりとともに一区切りつけるはずだったのが、ずるずると遊んでしまったのがよくなかった。連投記事の1本目を書き終えたあたりで流行り病にかかってしまい、それ以降の執筆計画は今に至るまで復旧の目途が立たないが、一方で今年の後半はウメハラ選手の本をよく読んだ(聴いた)ので、そこから得られた知見も含めて改めて振り返るのもよいだろう

tl.hateblo.jp

本読み: ボーイング747を創った男たち

10年くらい前のノートを見返していたら、山中俊二のデザインの骨格にあった「ジャンボジェット機に込められた美意識」の切り抜きが見つかった。 記事中に出てくるボーイング社の設計リーダー、ジョー・サッターに興味を持ったので、それらしい本を見繕ってきた。 本書から「闘うプログラマー 1」を思い出した、とAmazonレビューにあったのも気になったので読んでみた

訳者まえがきにいわく

訳書のページ数の関係で、私は戦前の米国の高速空気力学研究の話、ロールスロイス社のRB211エンジンのボーイング社への売り込み攻勢の話などをほぼ全部削除した。

とあり、後者はともかく前者については読みたかったので少し残念だった。 とはいえ本書は400ページもある分厚い本であり、多少の取捨選択は致し方ないといったところ。 失われた高速空気力学研究の話題は原著をあたるか、ISE Modern Compressible Flow: With Historical Perspectiveで補完することとしよう

音声メディア2023

  • 引き続きニュースを聴かない生活 1 を続けているが、それだとさすがにあれなので日曜討論 - NHKのラジオ版だけは聞いている。中にはこれは討論なのかな? と思う場面もあるけれど、そこは教師もしくは反面教師として
  • ポッドキャストは聴き続けている。ツイッターからは少し足が遠のいてしまったので、あまり感想をつぶやけていないが…
  • Audible会員登録を再開したので洋書を聴いている。伊藤先生の本 2 を参考に、同じ本を繰り返し聴くという体験を試みている

かつて読んだホーキーベカコンの原作が春琴抄であるとの認識でいる

GBVSR日記 (2)

発売日は金曜だと勘違いしていたがどうも木曜だったらしい。 ということはもうアーリーアクセスも終わっているのだが、このあたりで一区切りということかもしれない。 メーテラは相変わらずかっこよかった